その日も、窓から差し込む朝陽を瞼で感じ、不規則なタイヤとアスファルトの摩擦音で、目覚める。ベッドの中で2、3回身体をひねりリモコンに手を伸ばし意味もなくテレビをつける。そしてぼーと5分ニュースを見る。意味もなく、ちょうど5分。

椅子に座り、モニターの左後ろのボタンをつまむように左手の人差し指で押す。

1日が始まる合図のように、ジャーンと奏でて僕の頭の中に響き渡る。iMacのスイッチが、音とともに微電流を発し電波となってWifiで頭と繋がっているようだ。

ライブラリーを表示して、
トゥーランドットから「誰も寝てはならぬ(第3幕)」をかける。この曲は、映画『幸せのレシピ』で知って、そののち自分の『人生のレシピ』の一部になっている。

音楽には、必ず意味や物語がある。
このオペラ「トゥーランドット」は、伝説の時代の中国の北京。ヨーロッパの文化からみた神秘的な東洋の栄華の時代…。
権力と愛そして、それを支え貫く愛。そんな蘊蓄も夜の会話の種となる。

窓を開けて植物達に新鮮な空気と光を浴びさせる。
数多く一緒に生きてきた植物達だが、今となってはサンスベリアとモンステラの2鉢だけとなってしまった。
自ずから光を浴びられない中、誰からか助けがないと生きられないのである。

午後、
成長を助ける為に、生き生きさを維持する為に、かけているものを探しているかのように、太陽に向かって歩き始める。
買い物に行くでもなく、空を見上げて歩く。

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